今年に入ってすぐ、敬愛する歌舞伎役者、五代目中村富十郎様がお亡くなりになりました。
人間国宝でもあるこの方は、その肩書きに決して驕ることなく、お優しく、まっすぐな方だったと聞きます。
母が銀座で偶然にもお会いした事があったのですが、その時にも両手で握手してくださり、気さくに話しかけて下さったとか。
暖かい雰囲気が忘れられなかったと言っていた事を、昨日の事の様におもいだします。
そも、幼い頃、叔父に連れられて初めて歌舞伎の舞台を見た日のこと。
最初に見た演目が、この富十郎さんの「羽根の禿」という演目でした。
この方のこの踊りを見ていなかったら、これほどまでに歌舞伎を愛していなかったかも知れません。
それくらい、私にとっては大切な役者さんでした。
昨年、傘寿のお祝いに一日だけ催されたお祝い公演。
午前中に吉右衛門さんとの競演で勧進帳をなさるとの事で、勇んでチケットを取り、相棒と二人観てきました。
あの時、観ておいて本当に良かったと思います。
吉右衛門さんの富樫、富十郎さんの弁慶、どちらも素敵でした。
しばらく天王寺屋の声を聞くことはなくなるのでしょうか。
ご子息の成長を楽しみに待つばかりです。
きっと、富十郎の名を継ぐ日が来ると信じて。
歌舞伎のすばらしさ楽しさを教えて下さった方へ、感謝の意を込めて。
改めて、ご冥福をお祈りします。